前記事でお伝えしたカンヌライオンズ開催に伴い、日経新聞では、「ブランド・パーパス」という視点から見た「世界を変えたブランド広告」を特集。「ブランド」が経営の根幹をなし、社会への約束と自らの態度表明を示すものだと定義し、企業が社会的存在意義を強く問われるようになったとして、過去のカンヌライオンズ受賞作品から、ブランドパーパスを打ち出し共感を呼んだキャンペーンを10作挙げました。詳細は記事でお読みいただければと思いますが、その10作の簡易リストをパーパスとともにご紹介いたします。



Burberry「Festive
(2020)
バーバリーのアイテムを身につけ、ヒョウにも負けず踊る若者の様子から、逆境(コロナ禍)を共に乗り越えようというメッセージを発信。背景にあるのは、探検家が使用した革新的な耐候性のある衣類から始まったバーバリーのオリジンストーリー。

Nike「Dream Crazy(2018)
CEO齊藤の書籍でも紹介している、パーパス事例としては代表的なナイキのキャンペーン。人種差別問題で物議を醸したフットボール選手コリン・キャパニックを起用し、Nikeの当時のパーパス”active communities, and an equal playing field for all”を貫いた。

P&G 「Thank you, Mom(2012)
P&Gのパーパス「消費者の生活を向上させる、優れた品質と価値を備えた製品とサービスを提供」から、他国のオリンピックアスリートとその母たちのストーリーを展開。裏で支える母親の努力への感謝と、P&Gはその母親達をサポートしているというメッセージを発信し、世界中の母親の共感を呼んだ。

SSGA 「Fearless Girl(2017)
SSGA のミッションは、経済の繁栄と社会の進歩のために責任ある投資をすること。世界の金融街に凛と上を向く少女の像を設置し、女性リーダーの登用を世界中の企業に喚起。女性の活躍が経済を発展させると主張した。

Burger King 「The Moldy Whopper(2020)
パーパスの中にある「quality food(高品質フード)」を追求した結果、保存料や人工食材から脱却へ。ハンバーガーが34日間かけて腐敗し、カビに覆われていく様子を公開することでそれを強調した。

REI 「#OptOutside(2016)
“awaken a lifelong love of the outdoors for all”のパーパスに基づき、ブラックフライデーのショッピングの狂騒から逃れ、アウトドアに出ることを消費者に、そして自社社員にも呼びかけるキャンペーン。一年で一番稼ぎ時であるブラックフライデーの店舗を休みにしている。

オランダの総合金融機関INGは、「一歩先」の証明として、データ活用と最新の技術で、AIがレンブラントの作風さえも模倣できてしまうことを示した。彼らのパーパスは、人生とビジネスにおいて一歩先を行く人々をエンパワーすること。

ユニリーバ (Dove)「REAL BEAUTY SKETCHES(2013)
2つの似顔絵から、本人と他人による容姿の捉え方の違いを比べ、貴方が思うより貴方は美しいと訴える実験キャンペーン。Doveのブランド理念「美しさは不安の種ではなく、自信の源であるべき。次世代の女性が自分の容姿をより前向きにとらえるように支援する」を視覚化。

ジョン・ルイス百貨店 「THE BOY AND THE PIANO」(2018)
英国のデパートのクリスマスキャンペーン。エルトンジョンが幼少期のクリスマスにプレゼントされたピアノを開けるストーリーにさかのぼる。百貨店のパーパスは、”Find your happier.(よりハッピーになれるものを探しに)”

The New York Times 「THE TRUTH IS WORTH IT(2018)
「人々が世界を理解するために真実を追求する」を理念とするニューヨークタイムズが、刻々と変わっていく情勢を地道に追いかける記者たちを撮影し、彼らの身が常に危険に晒されながらも、真実を追求し続けている様子をあらわにした。