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②パーパスに注目させる戦略 ー 子供が外遊びをしない問題を提起し、ブランドの信念に注目させるキャンペーン「FREE THE KIDS」

子供の外遊び時間について調査を行なったところ、「子供達が1日に外で過ごす時間は1時間未満」という調査結果が得られました。では、その時間をもっと多くしなくてはならないということを人々に分からせるためにはどうしたら良いのか?

ここで注目したのが、囚人が刑務所で過ごしている時間です。国連人権指針21.1によると「屋外作業に従事していないすべての囚人は、毎日少なくとも1時間、屋外で適切な運動をしなければならない」とあります。子供達の平均の外遊び時間は、囚人のそれよりも少ないものだったのです。

Persilは、インディアナ州にある最重罪刑務所でインタビューをしました。囚人たちに、屋外で過ごす時間がいかに大切かを語ってもらい、子供の外遊びがそれより少ないという統計結果に彼らが驚くところをカメラに収め、オンラインと映画館でのこのミニドキュメンタリーを公開します。

同時に、メトロ紙とイブニング・スタンダード紙(ロンドンの無料タブロイド)に、囚人と子供を並べて、子供達の外遊び時間の少なさを訴える印象的な背面広告(上画像)を掲載しました。

また、インフルエンサーに「KIDS PRISON KIT」を送付しました。小さな小包には、この事実を伝えるプリントとともに、子供用の囚人コスキュームキットが入っています。これによりインフルエンサーに外遊びの重要性をSNSで発信してもらうことが狙いです。

現代の親たちは、メッセージが氾濫し、マーケティングに関して懐疑的です。たとえメッセージが真実で衝撃的なものであっても、Persilからのメッセージというだけで否定されてしまう危険性がありました。そのため、このように信頼を獲得しているインフルエンサーを通じての発信に加えて、NGOパートナーや権威のある人々、ニュースを中心としたメディア、口コミなど、より信頼性の高いソースを通じて視聴者にメッセージを届けることで、Persilのメッセージが真剣に受け止められるようにする戦略を取りました。子供の発達と遊びの世界的な第一人者であるケン・ロビンソン卿という権威をプロジェクトの長に迎え、すべての子供達が毎日の外遊びを必要とする理由をまとめたガイドラインを発表したのも、その戦略の1つでした。

 

へ続く