新型コロナウイルスの影響は、ビジネス界にも世界的に大きな混乱を招いています。状況が今後どうなっていくのか、誰もが予測不能な中で、企業・組織は大きな決断を緊急に下さなければならないようなケースが増えています。

間違った判断をしかねないこのような状況においての決断の際に、企業・組織は一度、原点を見つめる必要があります。

“企業として、組織として、我々はなぜ存在しているのか?”

つまり、パーパスや企業理念と照らし合わせて決定すること、そしてその結論が、パーパスや理念に基づいて下された判断であるということを明確に説明することが重要です。

すでに決定された事例の中から、パーパスや理念に沿った判断の例について、ご紹介します。

 


2月26日の政府による”二週間のイベント自粛要請”の後に、バタバタと多くのイベントや施設が中止・休止を決定しましたが、Jリーグは、それ以前の比較的早い段階で、試合の延期を決定・発表しました。プロ野球や相撲のような「無観客試合」の形を取らずに、Jリーグが試合延期としたのには、Jリーグの”理念”のすぐ下に掲げられている”活動方針”の中の1・2か条に答えがあります。

 (以下、「Jリーグ活動方針」より抜粋)

  1. フェアで魅力的な試合を行うことで、地域の人々に夢と楽しみを提供します
  2. 自治体・ファン・サポーターの理解・協力を仰ぎながら、世界に誇れる、安全で快適なスタジアム環境を確立していきます。

そのあとに続く3−6か条についても、「地域の人々」「交流」「家族や地域で楽しめる」「気軽に/一緒に参加できる」といった言葉が続きます。

Jリーグの村井チェアマンは、「勝った負けたを競い合うだけでなく、ファンやサポーターに試合をお届けするために存在している。無観客試合は最後の最後まで手段としては取るべきでない。」と語っています。

 

また、パーパスドリブン企業として知られる、ホテルチェーンのハイアットは、公式ウェブサイトやリワード会員に向けてのEメール配信で、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するお知らせ」を発表しました。それによると、すでに予約済みの旅程も柔軟に対応すること(第三者を介さない予約は、キャンセル料を免除)、そしてそれは、” we care for people so they can be their best(私たちは思いやりの心で、相手の「最高」を導き出します)”というハイアットのパーパスに基づいていることが、はっきりと記されています。 

アメリカの大手スーパーマーケットチェーンのTargetも、CEOの声明をウェブサイトおよびEメール配信で発表し、Targetのパーパス “To help all families discover the joy of everyday life.(全ての世帯に、毎日の生活の中の楽しみを見つけてもらう)”というパーパスに沿って、可能な限りで全ての店舗を通常営業していく方針であることを明確にしています。


 

事態は日に日に変化しており、これらの決断も、政府要請などで変更の必要性が生じるかもしれません。しかし、自分たちが「なぜ」存在しているのかを再認識することで、いま何を最優先すべきかが見え、状況に応じた正しい決断が出来ると、SMOは考えます。
そしてもし、その「なぜ」が明確になっていないのであれば、その組織には、今こそパーパスが必要なのです。