代表的なパーパス企業・Airbnbの決断

 

先日5月5日、AirbnbのCEOブライアン・チェスキーは、社員約7500名のうちの4分の1となる、1900名を解雇しなければならないことを発表しました。人員削減を行い、主要事業の転換を図っていくことを説明した社内外向けレターには、このような意思決定をするに至ったプロセスの詳細と、Airbnbのパーパスに則って退職者への補償や再就職支援などをしていく旨が詳しく書かれており、その内容は解雇という通知ながらも、非常に人情的かつ透明性があり、改めて、そのリーダーシップ力を見せつける形となりました。(日本語版はこちらで見ることができますが、原文の方が、より彼の意図を汲み取ることができるでしょう。)

Airbnbのパーパスは、”Creating a world where anyone can belong, anywhere”(誰もが、どこでも「ビロンギング(居場所)」がある世界をつくる)。
ユーザーに対しても、従業員に対しても、このパーパスに忠実に活動を行なっており、エクスターナル/インターナルの両方でパーパス・ブランディングが浸透している会社の好例とされています。


 

インターナルから始まるパーパス・ブランディング

 

非常事態において、リーダーが迅速な判断を下さなければならない際に、よりどころとなるものが必要です。私たちは、それがパーパスであると考えています。

現在、日本でもこれまでとは異なる状況にある企業が多いと思います。解雇や事業転換のようなインパクトが大きい局面を迎えているところもあれば、そこまではいかないけれど確実に変化している、例えば、これまで導入していなかったテレワークを始めた、というところも多いことでしょう。オフィスに集っていれば、「なんとなく」組織文化というものが出来上がってきます。しかし、リモートで働くようになると、その「なんとなく」が効かなくなってきて、組織文化が失せてきてはいないでしょうか?

リモート中でも組織文化を浸透させるためには、しっかりと仲間(従業員)に対するインターナル・ブランディングをしていくことが重要です。ここで軸となっていくのがパーパスです。パーパスを中心とした組織文化が育成され醸成されていればいるほど、社員一人ひとりがパーパスに沿った行動と判断ができます。そうしてインターナル・ブランディングが確率されると、パーパスから得た理解を自身の仕事に転換し、エクスターナルな形でのブランディングとして発展していきます。このように、パーパスを中心に据えて経営を行うことは、あらゆるステクホルダに影を及ぼします。つまりパーパス・ブランディングは、それ自体にインターナルとエクスターナルの両方を内包しているものなのです。それには、何よりまずリーダーが全ての意思決定をパーパスに基づいて行うこと、そしてインターナルでのパーパス文化を十分に浸透させることから始めなくてはなりません。

事業転換を図る場合も、よりどころになるパーパスがあれば、その企業またはそのメンバーで、やるべき事業/やるべきではない事業が明確になるでしょう。

そして、解雇はしないに越したことはありませんが、止むを得ない状況の際には、解雇される人たちにも、残る人たちにも納得できるような対応、説明が必要です。最終的に皆を腹落ちさせる、そのよりどころになるのも、パーパスなのです。

このAirbnbの決断で、会社を去らなくならないといけなくなった従業員はその「ビロンギング(居場所)」を失くすとは言え、そのパーパスに根ざした精神は、次の仕事に活かされることでしょう。誰しもが納得せざるを得ない今回のCEOレター(日本語文原文)、皆様もぜひ目を通し、経営活動の参考にしていただければと思います。