ユニリーバは、「サステナビリティを暮らしの”あたりまえ”に」をパーパスとして、そのパーパスに忠実に経営をしている、代表的なパーパス企業です。SMOでも、昨年、ユニリーバ・ジャパンCHROの島田様と共に、パーパスに関するイベントを開催いたしました。

 

さて、米国Bloomberg Quintにて、ユニリーバCEOのインタビュー記事

Unilever CEO Sees Purpose-Led Businesses Only Gaining Relevance” が公開されました。

本語訳にしましたので、ご紹介します。


 

C:  インタビュアー Bloomberg Carol Massar氏

A: ユニリーバCEO Alan Jope氏

 

C: 企業は今、従業員、コミュニティ、株主、顧客 — どのステークホルダーを優先するべきでしょうか?

A: 私たちは過去10年ほど、あらゆるステークホルダーを重視するモデルを採用しています。従業員やお客様を大切にし、社会や地球のことを考え、サプライヤーパートナーを大切にすることができれば、株主も十分なリターンを得ると信じています。

最終的には、これらすべてのステークホルダーを大事にしなければなりませんが、それは間違いなく従業員から始まります。社員を大切にしないことには、私も会社の幹部として何もできません。商品を作りお客様に尽くしているのは現場で活躍している人たちです。全てはそこから始まるということです。

 

C:この状況が長く続くと、ビジネスは厳しくなるのですか?

A:はい。当社の従業員は約15万人で、そのうち約7万人はオフィスで働く在宅勤務の人がいる一方で、さらに5万人の人が工場で働いています。家で働くことに自由を感じている人もいれば、拷問に感じている人もいるというのは、社としても把握しています。

 

C:現在、何百万人もの人々が失業しています。このまま仕事がなくなるかもしれない労働者に新しいスキルを訓練するにはどうすればいいのでしょうか?

A:再訓練は、私たちが長い間取り組んできたことです。ユニリーバでは実際にデジタルラーニングを強化しており、完全に使いこなせていないとしても、それをうまく使ってスキルを磨くことを社員は理解しています。

この質問は重要な問題で、私は実際に国連と協力して、特に若年層を対象とした再スキル化と新たな就職先を見つけるための雇用市場の創出に関して着手しています。私たちは今、ウイルスに集中しています。今はそうあるべきですが、他の大きな気候変動や不平等のような世界の問題は消えません。そして、再建の際、これらの重要な仕事から目を離さないようにしてほしい。それらに迅速に対処しない限り、私たちを悩ませることになるでしょう。

多国間外交と国際貿易は何億人もの人々を貧困から救い出してきました。そして今、ナショナリズム後退の懸念があり、それは、貿易にとって、経済にとって、そして連帯協力を必要とする気候変動のような国際問題の解決にとって、マイナス要素です。

 

C:利益を出すことと、良いことをすること、これらのバランスをどのように取るのかー 特にこの変化した世の中では、どうでしょうか?

A:景気回復を「経済vs健康」という枠にはめるのは、間違いだと思います。健康性リカバリーと経済性リカバリーはそれぞれ別の話です。また、それと同じくして、パーパスを語る上で、利益の上に成り立つというように語るべきではありません。 私たちは、本当に良いことをすることにブランドを位置づけ、持続可能な方法でサプライチェーンを構築すること、責任ある雇用者となり雇用機会を創出することで、副産物として財政パフォーマンスが向上すると信じています。「パーパスvs利益」の形で天秤にかけるのは好みません。

 

C:ユニリーバは「平等性」を大きく打ち出していますが、今後も同様ですか?

A:スタンフォード大学の史学教授ウォルター・シャイデルは、経済的不平等の急な変化は戦争や危機の後に限って起こる傾向があると書いています。ユニリーバが力を入れている一つにジェンダー間の不平等性への対策があります。我々の非執行役員会と経営陣は50/50です。しかし今、会社の社会での役割について考え始めなければなりません。拡張する事業の中で、ブランドを通じて、女性の活躍の場を創出すること。また、所得格差も非常に顕在化してきます。私が思うに、資本主義の過去20年の間に進化してきたモデルは、より平等で分配型のモデルに変えなければなりません。

 

C:多くの企業が業績ガイダンスを撤回しています。経済の見通しをどう見ますか?また、消費者の反応についてどう見ていますか?

C:ユニリーバが業績ガイダンスを撤回したのは、正確性に欠ける状態に甘んじないようにするためです。あまりにも不確かな今の世の中ではありますが、わかっていることもあります。まずこれからリセッションが起きるということ。そのため、ユニリーバ自身も含め、企業は、使えるお金の減っている消費者がいかにして高品質の製品に低コストでアクセスできるようにするか、価値提案について考えなくてはならない。我々は現在、その対応に追われています。

第二に、人々は恐れを抱いています。公衆衛生、コクーニング、ディスタンス経済、ステイホーム、これらは全て大きなトレンドになるでしょう。

そして、家庭外で消費していた生活が、家庭内消費にシフトしていくでしょう。私たちの買い物仕様、メディア消費、お金の消費など生活面でデジタル化が進むばかりですが、さらにこれで加速化しそうです。マクロのトレンドは非常にはっきりしています。

 

C:ユニリーバ製品の中で、コロナ禍でも打たれ強いブランドと、一方でそうでないブランドはどれでしょうか?

A:ブランドごとではなく、カテゴリーごとで変わってきます。これは特に驚くことではありません。レストランへの製品供給を手広く扱っていますが、これらが不調である一方、手洗い用衛生用品・消毒用品・家庭内用食品に関する部門もある。今、人々は信頼できるブランドを必要としています。ユニリーバにとって最大かつ歴史あるブランドが今、非常に好調であることは事実です。危機的な状況下では、ビッグブランドや信頼されたブランドが非常に好調に推移する傾向があります。

 

C:他の経営層に参考になる教訓は何ですか?

A:いま、シナリオプランニングから離れて、社内のアジリティの構築と対応力に焦点を当てています。未来に対する一定の観点やシナリオにとらわれたり、そこに時間をかけすぎたりするよりも、むしろ必要なのは、多くの大企業が持っているキャパシティーを一旦解き放ち、よりマーケットや最前線の近くに人員を置いて、その判断力を発揮し意思決定を行うことではないかと思っています。

もっと前にできていればよかったと思うのですが、この度ユニリーバの「ニュー・レスポンティブネス(新・対応性)」を今回の危機で新たに創り上げました。

 

C:この危機によって、今までのやり方を変える必要がありそうですか?

A:ユニリーバは、「パーパスを持ったブランドは成長する」「パーパスを持った企業は成長する」「パーパスを持った人は成功する」という3つの信念に導かれています。そして、コロナウイルス以前よりも、コロナウイルス後の世界に、パーパスは、より関連性を帯び重要になってくるのです。そのため、私たちがパーパス主導のビジネスをコミットすること、これが揺らぐことは一切、ありません。