コアコンピタンス(「競合他社に真似できない、圧倒的能力」)の概念を打ち出した、ゲーリー・ハメル(Gary Hamel)は、2009年のウォールストリート・ジャーナルのブログ記事で以下のように書いています:

マネージメント業務がハイヤー・パーパスを果たさなくてはならない。 マネジメントというのは、理論面でも実践面でも、崇高かつ社会的重要な目的を達成するための位置づけでなければなりません。

このハイヤー・パーパスは、単に利益だけに焦点を当てたのではないパーパスを意味します。 利益というものを超えたパーパスでなければなりません。

マズローの欲求段階説とパーパス

また一方で、世界の中で、社会変化をもたらすことに注力している企業があります。こうした企業は直接的な方法で、より良い世界を築くためにはどのように貢献できるのかに焦点を当てています。たとえば、Toms ShoesとMethodが挙げられます。 これらの企業は、自分たちのニーズより、世界のニーズを優先しています。 これは、自己超越というマズローの欲求段階説の最高階層に通じるところがあります。

また、世界で最高の製品を製造しつづけようと邁進している企業もあります。 たとえば、BMWとアップル。 ここでもまた、偉大な製品をつくる欲求は、マズローの欲求段階説の観点では、自己実現のステージに区別することができます。

この観察は、企業を人間として置き換えると、マズローの欲求段階説も人間に適用できることを示唆しています。我々人間は一つだけの意識をもち、欲求階層の中でより高い欲求をすぐに理解するのに対し、企業や組織は、自分達のニーズを理解するために、努力することが必要であります。

人種と同じように、創設されたばかりの会社というものは底辺から始まります。 生理的ニーズ、安全的ニーズを果たしていなければなりません。 もちろん、その段階では、企業は、食べていく為に、利益を優先することが必要となります。

しかし、そうした企業は、基本的なニーズ達成をパーパスにしてしまってはなりません。欲求段階説の最高層である、自己実現と自己超越のレベルになるような、より高いパーパスを作り上げる必要があります。 利益というものは、あくまで、パーパスを実現する手段でしかないのです。

有名なフランスの劇作家モリエールは言っています。「生きるために食べるべきであり、食べるために生きるのではない」と。