日本の経団連にあたる、アメリカの大手経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」。このたび、8月19日に「企業のパーパス(the purpose of a corporation)」について新たな方針が発表され、これまで20年以上に渡り掲げてきた”企業は第一に株主に仕えるために存在する”という「株主至上主義」を見直し、今後は、顧客・従業員・サプライヤー・地域社会・株主などのすべてのステークホルダーを重視する、つまりは「人・社会を重視した方針」に転換することを表明しました。

この表明には、アマゾンやアップル、JPモルガン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、バンク・オブ・アメリカなど米国大手企業の181社ものCEOが署名をし、「時代に合わせ、長期的視点に立った方針に変更した」と見解を示しています。

これは、昨年2018年、投資運用会社の最大手BlackRockのCEOラリー・フィンク氏が、全世界の他社CEOへ「Sense of Purpose」と題した手紙を宛て、その中で語られたことが、いままさに多くの企業へ響こうとしている結果と言えましょう。
その中でフィンク氏は、「企業は社会的に意義のあるパーパスのために働くべきだという声が高まっています。末永く繁盛するためには、企業は売上業績を上げるだけではなく、自らがいかにして社会に貢献するのかを示す必要があります。企業は各ステークホルダーにとって有益であるべきであり、そのステークホルダーとは、株主、従業員、顧客、そしてその企業が関わっているコミュニティーのことを指します。」と書き、パーパスの重要性と社会への貢献性を訴えました。
(この手紙についての詳細は、弊社BLOG 2018年8月10日記事 にてご紹介しています)

日本では昔から、「社員は家族」などとして、ステークホルダー重視の経営をする傾向にありました。しかしバブル崩壊後、経済は長期低迷期に入り、アメリカ型の「株主至上主義」に向かった結果、正社員を減らして非正規労働者を増やしたりなど、従業員は株主に利益をもたらすためだけの道具となりつつあります。

ここに来て、アメリカ経済は大きく変わろうとしています。日本もまた、往来の「ステークホルダー重視」を回帰させ、さらにはより多くの人々に対し「社会的に意義のあるパーパスのために働く」という意識を高める必要性があるでしょう。そのために、すべての企業には、それぞれ明確な「パーパス」が必要なのです。