パーパス・ブランディングの中心となる「パーパス」。
では、パーパスは一体どのようにして発見するのか?この連載では、パーパスを発見するためのヒントと知見をご紹介したい。
第三回 強みを考える
SMOが考えるパーパスの構成要素は、主に以下の3つで成り立っている。
- 自社の強み
- 自社の情熱
- 市場、世の中からのニーズ
この3つが交わるところに、自社の存在理由がある。この部分を深掘りし、探り当てて言語化したものが「パーパス」となる。
今回は「自社の強み」の要素を洗い出すためのフレームワークの一例を詳しくみてみよう。
自社の強みを考える際、2種類の強みに分けて考える。
- 組織(チーム)の強み
- その組織(チーム)が作り出したアウトプットの強み
(例:プロダクト、サービス、体験など)
1)組織の強みについて考える
組織の強みはさらに二つの視点で探ることができる。
有形なもの
- 所持している資産。(例:設備や土地など)
無形なもの
- できることと知っていること。(例:スキル、知識、メソッド)
- 知っている人々(例:ネットワーク、取引先)
- ブランド力
組織の強みの例
ディズニー・ピクサーの「レミーのおいしいレストラン」という映画を例としてみてみよう。
映画の主人公は、レミーというネズミと、リングイニという少年。リングイニは料理はあまりできないが、パリの三ツ星レストラン《グストー》で働くことになる。一方でレミーは料理の才能があり、リングイニのコック帽に隠れて指示を出し、彼の料理を手伝う。つまり、レミーは「頭」、リングイニは「手」となって、二人で美味しい料理を協力して作る。
組織の強みの視点で、このレストランの強みを考えてみよう。
有形なもの
- キッチン
- 調理器具
- レシピ本
無形なもの
- 調理スキル
- メンター:シェフグストーとコレット(ベテランの女の子)
- 仲間:食べ物を運ぶウェイターと素材を提供する仕入れ先
- ブランド:看板の有名シェフがいる三つ星レストランである
2)アウトプットの強みについて考える
商品やサービスの強みに関して、業界によって分析方法は様々があるが、二つの有効な方法を紹介しよう。
Quality Cue
自社のアウトプットの「Quality Cue」について考える方法。「Quality Cue」とは、ブランディング論の考え方の一つで、顧客へ手っ取り早く価値が伝わる商品の特徴のことである。
ウェスティンホテルのヘブンリーベッドはその一例だろう。最高に快適な寝心地を約束するプレミアム感のあるベッドは、ウェスティンだけのオリジナル商品。宿泊者はウェスティンに泊まったら、このベッドを体験できる。ヘブンリーベッドによって、宿泊者はウェスティンホテルがプレミアム感のあるホテルと認識しやすくなるのだ。
一般的に、低価格であることや、使いやすさ、素材へのこだわり、などがquality cueの例として挙げられる。
カスタマー・ジャーニー
自社の製品やサービスを、カスタマージャーニーの視点から分析を行うことも、強みの洗い出しに役立つ。特に、競合他社と比較しながら、購入前、購入中、購入後の視点で、顧客との接点を洗い出し、マッピングすることで、自社の商品とサービスの強みがより明確になるだろう。
このように、組織とアウトプットの視点でブレストすることで、強みを網羅的に洗い出すことができる。次回は、ここから出てきた強みをどのように絞っていくかを詳しくみてみよう。