<こちらの記事は、SMOタブロイド誌「TOKYO 2018」からの抜粋です。
TOKYO20xxシリーズについて、最新版は、こちらよりダウンロードいただけます>

 

SMOでは、いま存在している種を元に、一見何も関係ない別の種を繋げて、これまでの延長線上にないジャンプした未来を創造しています。ときには、突拍子もなさすぎて「これはないでしょ」と一瞬頭をよぎるものもありますが、いやいや、そういうものに限って、突然やってくる未来だったりするのです。今回は、その中でも、読み物としても楽しい、そして2018年から2028年のあいだに起こり得るかもしれないマテリアルを用意しました。

その①はこちら

 

国内中学校と高校の多くが4学期制へ

少子化に対応するため、海外より学生をいかに誘致するかが多くの学校の重要課題となっているが、日本の学年は海外と異なっていることが障害となっている。そこで海外からの留学生をいつでも受は入れられるように、学年をより細かく刻み、年間を4学期制にする中学校、高校が続々と登場する。

 

ダークスカイ運動広がる

LEDの普及により、世界の夜がどんどん明るくなるという光害が深刻し、夜行性動植物が絶滅の危機に瀕している。東京都は世界に率先し、毎日22時以降は業界を問わず完全消灯を義務化し、星空を見上げようというダークスカイ運動を推奨。ろうそくやLEDキャンドルで夜を過ごす人々が増え、都内でも天の川を肉眼で見られるほどに。天体望遠鏡の売れ行きだけは好調。

 

魅惑のスーパードリンク「カヴァ」で合法ナチュラルハイ?!

太平洋諸島で伝統的に飲まれてきた、スピリチュアルなヘルシードリンク、カヴァが大流行中。カヴァとは、コショウ科の木の根を砕き、水を加えて濾した飲み物。お酒やドラッグではないのに、不安やストレス症状を和らげ、「ふわふわしたナチュラルハイ」な気分を味わえると話題。カヴァ・バーが続々とオープン、おしゃれセレブが集まり、お酒代わりにカヴァを楽しむという。コーヒーとの相性が良いのでカヴァラテを扱うカフェも急増中。 お手軽に楽しめるカヴァショットの缶ドリンクは、レッドブルの新たなライバルに。大手飲料メーカーでは、国産カヴァを栽培する研究を進めている。

 

Education Mobility」に対応できず、苦戦する学校が出現

コーワキングの発達とテクノロジーの進歩により、国境も超えてあらゆる場所で仕事をする人がますます増える。そんなワーカーたちもいよいよ子育て世代に突入したが、それでも子供とともにあらゆる場所に自由に移動しながら仕事を続けたい。この「Education Mobility」というニーズに対応したグローバルネットワーク型学校が人気に。母校はなく、世界中に沢山の分校を持ち、日本の都会にある駅前英会話教室さながら、移動先の学校にいつでも自由に子供を通わせることができる。多くの仕事がロケーションフリーになる中、学校も「Education Mobility」のニーズが拡大。それに対応出来ない学校はディスラプトされる。

 

トイレの完全個室化

ジェンダー問題の対策のひとつとして、公共トイレの性別によるエリア分けが禁止に。単にトイレというくくりのもと、完全個室トイレが並び、性別関係なく使用できるように。

 

MBAはもう古い!有能な営業者は美大のEEでお勉強

企業の優秀な幹部候補はアートスクールのExecutive Educationコースでアートな思考回路を鍛えるために勉強するのが当たり前になってきたことを受け、多くの美大が同様のコースを作った。出世したいならあなたも美大へ。

 

「料理の鉄人」が復活~ロボットvs人間へ

90年代の人気テレビ番組が「新・料理の鉄人」として復活。以前は人間の料理人同士の対決だったが、今度はロボットシェフと人間の料理人との対決になる。「新・料理の鉄人」シーズン1では、最新の技術とAIを生かしたロボットシェフ「シェフAI子」に人間が勝てるかどうかに注目が集まった。一方、当番組の配信を反対する声も上がっている。中でも世界中の料理人組合は番組配信中止の署名を集めており、人間シェフの存在意義が問われる時代が来るようだ。番組プロデューサーによると企画のきっかけは90年代IBMが開発したスパコンDeep Blueと世界チェスチャンピオンの対決、そして2010年代のAIと人間の棋士とが戦う将棋の電脳戦だそうだ。一方、シェフAI子の開発者にその原点について聞くと、キッチン家電のIoT化だという。開発者はコーヒー愛好家であり、IoT化されたコーヒードリッパーに衝撃を受け、料理するロボティックスにその生涯を捧げ、すべてのノウハウを活かし番組のためにロボットシェフを開発したという。今後の展開に関しては、シェフAI子を製品化しシンガポールで流行している「シェフを家に呼ぶサービス」の大手企業と提携する計画。誰でも家庭でプロのシェフの料理を低価格で食べられるようになる。一方、外食企業では、SNSのデータなど活用し、顧客に合わせて普段慣れ親しんだ味を提供するAIキッチンシステムを開発。誰でも外で家庭の味を楽しむことができるとしている。

 

シェア前提の家作り

Airbnbや民泊は利用も提供も一般化している。またアマゾンインハウスデリバリーのように、家の中まで運び込んでくれる宅配も当たり前となり、セキュリティーの心配をするよりも、新時代に対応したシェア前提の家作りが普及する。

 

政治家志向の輸入

ハーバードなどの有名ヒジネススクールを卒業後、そのまま政界に進出する人が増えている米国の影響を受けてか、日本でも優秀な学生が政治家を志すケースが増えている。これまで官僚になることがエリートコースだったが、これにより官僚主導の政治が衰退を見せる。偉大なビジネスリーダーたちが複雑な社会問題に取り組み、成果をあげていることも影響していると思われる。

 

分身の術を使ってたら頭がおかしくなった

ヴァーチャルリアリティの世界で複数の自分の分身を作り生きていたら、どれも本当の自分なんだけど、そもそもどっちの世界に軸足を置いて生きているのかわからなくなる。リアルな自分と、あっちの世界の自分A、自分B、自分C…自分が混在しすぎて自分が誰かわからなくなる人が続出。リアルな世界とヴァーチャル世界、両方の精神科に行列ができる。

 

KAIZENJITに加え、IKIGAIが海外MBAプログラムの必修理論へ

世界の様々な企業ランキングに日本企業がなかなかランクインしないため、日本の経営団体、経営・経済分野の教授陣、政府関係者たちが協議し、日本型「いい会社の基準」を定義し、IKIGAI500という新企業ランキングを作成。このランキングでは、企業がいかに全てのステークホルダー(社員、取引先、株主、顧客、地域、社会、国)にとってメリットとなる共通価値を見出すことを中心に据えた。そんななか、海外企業がパーパス(志と存在意義)主導型の経営にシフトしていることと重なり、日本のIKIGAI500企業ランキングに注目が集まる。IKIGAIという言葉が、英語のパーパス(purpose)の概念ととても近いこともあり、海外の経営者にはとてもしっくりきたようで、多くのビジネスリーダーはFortune 500よりもIKIGAI500の上位のランキングに入ることを目標設定にしている。海外のMBAのテキストでは、日本発の経営理論KAIZENとJITに加え、IKIGAIも定着しそうだ。

 

見知らぬ誰かが家にいる

といっても犯罪のようなこわい話ではなく、アマゾンキーやブルーエプロンの進化により、本人が望めば勝手に自宅に来て、掃除、洗濯、料理などやってほしいことを留守中にすべて実現してくれる。家事の外注化は完全に浸透。

 

スモールマネージメントオーガナイズ

企業への就職という概念がなくなり、プロジェクト毎の契約といういわゆるフリーランスの働き方が大企業にも広がる。これまで、特に大企業と個人との契約は難しかったが、人材確保、クオリティー確保の観点から必要に迫られー気に広がった。これに合わせ、個人も企業に依存できなくなり、本人の資質が問われるように。

 

東京の離島に人々が押し寄せる!ジャングルに出現したサスティナブルな理想郷

起業家、研究者、学生たちがこぞって僻地の離島を目指している。東京の離島、かつての無人島、原生林が残るジャングルに生まれたサスティナブルな村。そこではハイテクなスマートシティとは全く異なる、電気・水道・ガスなし、食料も住処も自給自足という原始的な生活が待っている。参加者たちは、ここで自ら”村づくり”を実践型教育プログラムから学ぶ。水道・電気などのインフラ整備、住居建築、エンジニアリング、農業、カリナリーアート、ヘルス・ウェルネス、メディアクラスなどから様々なクラスを自由に組み合わせられる。参加費用は、10週間のプログラムで700万円と高額だが、募集からわずか数時間で定員超え。その他、本物の自然の中で自給自足生活をトライアル体験ができるキャンプサイトやビエンナーレなどのイベントも人気。また、村内にある20戸の戸建住居は、販売開始後すぐに完売。東京でのデジタルな都市生活に疲れた人々がジャングルの原始的な生活を気に入り、そのまま移住を決めているという。東京都の離島への関心が高まり、各島の地価は軒並み高騰している。

 

ポチっと押すだけで社会貢献

電力自由化に伴い、自宅で使う電力をグリーンエネルギーに選択できるというアプリが人気。環境問題に関心があるけど、何をしてよいかわからない、時間もないという若者を中心に利用が広がっている。携帯アプリをポチっと押すだけで、環境保全に貢献しているという自己満足を得られる。また、同様に、フードロスなどを扱う社会貢献アプリも続々登場している。

 

 

#未来洞察

#未来予測

#スキャニング・マテリアル

#フューチャー・インサイト

#トレンド予測

#フューチャーシナリオ

# 社会変化シナリオ

#インパクトダイナミクス