2008年、生き残りをかけて苦戦していたビッグ3と呼ばれる米国企業。それが、フォード、ゼネラルモーターズ、クライスラーの自動車3大手です。アメリカ合衆国政府は、資金繰りが厳しい危機に面したこれら3社へ、膨大な額の融資を提案しました。ゼネラルモーターズとクライスラーがこれを受け入れる一方で、フォードは拒否し、起死回生に賭けたのです。そして元ボーイング社幹部にいたアラン・ムラーリーCEOの指揮の下、フォードの転換期は始まりました。

 

成功への転換となる重要ポイント

「フォード社の未来は、ヘンリー・フォードが辣腕を振るい成功していた日々の原点に立ち返ることにかかっている」とムラーリーは信じていました。

ムラーリーはある日、フォード社の記事書庫から、1925年当時の古い新聞広告を見つけました。それはまるで「近くに金の埋蔵があることを確信した採掘者のようであった」と語っています。

その広告にはヘンリーフォードの元々目指していたビジョンが絵となって描かれていました。丘の上に、フォード社が1908年から1927年まで発売していた車・モデルTと、ある家族の姿があり、丘からは郊外へと続く道のりが描かれ、そこにはあらゆる種類の車が走っています。そしてその絵の下には「 Opening the Highways to All Mankind」の標題。その下に、フォード社が基とするステートメントが掲げられています。説明よりも、こちらでその広告を見て頂くほうが早いかもしれません。

 

この広告からのパーパスの抜粋

 皆が使いやすいサービスを提供する組織には、手広くやること、そして優れたパーパスを持つことが、重要となってきます。監視の高いコストにも負けず、製造ファクターを安定化する - これが我々の優れたパーパスです。

少し古い文体ではありますが、そのスピリットは現在にも関わってきます。この古い広告はフォード社のトランスフォーメーションの指標として北極星のような存在となり、さらには疑問が生まれたときの試金石にもなるでしょう。

 

パーパス発見についてフォードから学ぶこと

フォード社のスタディケースから、パーパスは成功に不可欠だということが分かります。パーパスの再発見において、過去に遡り、自らの歴史を探る。それがあなたのパーパスにつながることになるでしょう。