弊社CEO 齊藤 三希子が先日、DAS株式会社さま主催のセミナー「Cannes Lions2022とCogX2022から紐解くこれからのメタバース」にお招きいただき、ブランド・パーパス視点からみるカンヌライオンズ受賞作品についてお話しさせていただきました。
本ブログでも関連した内容の一部をすでにご紹介済みですが、好評につき今回は続編として、他の好事例(カンヌライオンズ受賞作のうち、自社のパーパスに基づいて展開された広告キャンペーン)についてもご紹介いたします。
【関連記事:「カンヌライオンズ受賞作から見る、ブランド・パーパスの重要性」はこちら

Decathlon「THE BREAKAWAY: THE FIRST ECYCLING TEAM FOR PRISONERS」

デカトロンは、「TO BE USEFUL TO PEOPLE AND TO THEIR PLANET !(人々と、地球の役に立つ)」をパーパスとして世界に展開する、フランスのアウトドア&スポーツ用品メーカー。公式ページでは、そのパーパスの補足情報として「経験豊富なアスリートであるデカトロンは、スポーツを愛する情熱をできる限りたくさんの人と共有することを目指しています」としています。
今年のカンヌライオンズCreative Strategy部門を受賞したこちらは、デカトロンがベルギー最大の刑務所の囚人のために立ち上げたeサイクリングチーム「THE BREAKAWAY」キャンペーン。スポーツを愛するできる限り多くの人へ、というパーパスに沿って、囚人たちが仮想プラットフォームでeサイクリングの練習およびレースに参加できるように作られたものです。自転車、スマートトレーナーを含むすべての機器が刑務所内に提供され、外部の一般の選手とレースを競うことを可能にしています。

 

P&G Whisper「The Missing Chapter」

 

こちらはインドのP&G社による女性用生理用品Whisperのインド国内用キャンペーン。インドでは月経への偏見とタブー認識が今日でも続いており、女子に対しての教育不足のために、思春期の少女の71%は始まるまで月経が起こることを知らず、月経開始をきっかけに学校を中退してしまうケースも。そこでWhisperは、#KeepGirlsInSchool(女子を学校にとどめよう)をキーワードにこちらの動画「The Missing Chapter」を制作。生理教育の欠如がインド社会にもたらしている影響を伝えました。

こちらは、全世界共通でのP&Gのパーパス「現在、そして次世代の世界の消費者の生活を向上させる」、そしてWhisper(インド内)のミッション「to help girls & women reach for the stars and unleash their true potential(女子・女性が目標に向けてリーチし、真の可能性を発揮できるよう支援すること)」という二階層の理念にしっかりと基づいたものになっています。このキャンペーンは、SDGs部門でのグランプリに輝きました。

 

Google 「Real Tone」

AIによる画像認識は、いまや多くのアプリやサービスで広く活用されていますが、実は肌の色が濃いほどうまく機能しないことが多く、肌の色が黒い人々にとっては使いづらい一面もありました。そこでGoogleは、彼らの理念である「to organize the world’s information and make it universally accessible and useful. 」つまり、”誰でもユニバーサルにそして便利に使えるよう、世界中の情報を整理する”を体現化すべく、この問題を解決する「モンク・スキン・トーン(MST)スケール」をハーバード大学と共同で開発し、肌の色調を10段階で認識して顔認識機能の改善に取り組みました。GoogleによるスマートフォンGooglePixelには、これを活用した「リアルトーン」と呼ばれるフィルター機能が追加され、さまざまな肌の色を的確に認識・表現することを可能にしています。こちらのキャンペーンは、カンヌライオンズMobile部門のグランプリを受賞しました。