前回の記事では、3つの視点で、パーパスの種類を見てきた。今回は、弊社が公開したパーパスステートメントのリストからの事例から、もう一つの視点を紹介しよう。

パーパスステートメントを「現状インパクト型」「状態実現型」との二つに分類。 

  • 状態実現型:ある状態の実現を追求するもの。現状と異なる状態を実現するために、企業活動を行う。
  • 現状インパクト型:現状の仕事によるインパクトを明確にするもの

状態実現型について

小松製作所とパナソニックとLIXILのパーパスは状態実現型の良い例だ。

  • 小松製作所
    ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く
  • パナソニック
    物と心が共に豊かな理想の社会の実現
  • LIXIL
    世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現

上記三つとも、思い描きたい社会や未来に焦点を当てている。なお、状態実現型には、現状に対する不満や問題点を解決するようなタイプのものもある。二つの例をあげよう。

  • CyberAgent
    新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する
  • ビジョン
    赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします

上記の二つの事例では、私たちのいる社会の現状の課題を明確にし、それを変える緊張感と力強さが感じさせられる。

現状インパクト型について

ある状態の実現よりも、「今」取り組んでいる活動の本質的なところが重点となる。海外の事例では、LCCの代表企業のサウスウェスト航空のパーパス:

Connect People to what’s important in their lives through friendly, reliable, and low-cost air travel.

この種類では、パーパスは日々の仕事と業務で実現されていることになる。もう一つの例をあげよう。ソニーのパーパス:

クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。

今でも、ソニーの商品やコンテンツで、世界は感動で満たされつつあるように捉えるので、現状インパクト型と当てはまる。参考までに、さらに現状インパクト型の二つの日本の事例をあげよう。

  • 東京海上
    お客様や地域社会の”いざ”をお守りする
  • サンゲツ
    私たちは、新しい空間を作りだす人々にデザインするよろこびを提供します。

状態実現型と現状インパクト型との使い分け

状態実現型・現状インパクト型のどちらのパーパスにするべきか?これを決める一つの重要なポイントは理念体系である。”実現したい状態”は大体以下の2種類があり、

  • 企業像:企業のなりたい姿
  • 社会像:企業が作りたい社会や世界や未来

一般的に、これはビジョンと呼ばれることが多い。理念体系にビジョンのような要素が既にある場合は、現状インパクト型のパーパスにするのが適切だろう。一方、ビジョンを制定していない(或いは、したくない)場合、現状インパクト型と状態実現型の両方を検討すべきだ。どちらがよりステークホルダーの心に響くかどうかが重要な判断基準となる。

 

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