SMOに寄せられる、パーパスについて、パーパスブランディングについて、よくある質問をご紹介しています。

本日はPart 2です。(Part1はこちらから)


 

一度策定したパーパスは変えても良いのでしょうか?

はい。パーパスは、時に変える必要が出てきます。

パーパスがうまく機能するためには、自社の ①強みと ②情熱、そして ③顧客及び世の中が求めていること、この三つの部分の重なった部分にパーパスが存在する必要があります。

経営環境は変わっていくものであり、それに応じて自社の強みと情熱も変わる可能性があります。つまり、制定したパーパスが、もともと重なった位置から外れる可能性があります。そうなったら、経営環境に適合できるよう、パーパスを重なり合った場所に戻すように変えなければなりません。

LCCの原型で、かつパーパスドリブンブランドの元祖の一つと言われるサウスウエスト航空はその例です。サウスウエストの初期のパーパスは「人々に空を飛ぶ自由を与えること」でした。そのパーパスに据えて、オペレーションを徹底し、地上交通と同じくらい乗り易い価格帯で、多くの人々に飛行機を乗るチャンスを与えました。

その後、次々とLCCが出現し、アメリカの誰もが飛行機に乗れる状況になり、人々は飛ぶ自由を手に入れた環境になりました。さらに、時代が不確実になり、ものより体験と言われていく中で、大切な人やものと時間を過ごすことがよりを重視視されるようになってきました。そこでサウスウエストは、自社のパーパスを「フレンドリー、信頼性、そしてローコストな空の旅で人々の人生の大切ものを結びつけるためにいる」と再定義したのです。つまり、「飛ぶ自由」は環境の変化からもはや自社だけの強みではなくなり、重なり合いを再検討した結果です。

 

パーパス・ブランディングを実践する際、必ずパーパスを外部に表明し、伝えつづけないといけないのでしょうか?

パーパスを制定し、組織外(顧客や取引先)に対し発信しつづけ、商品とサービスを通じて、常々表に出すケースは、環境や社会の持続性についてのパーパスを持つ企業には特によく見られます。例えば、アウトドアウェアのメーカーであるパタゴニア。常にパーパスを意識した商品づくりとパーパスに関連する情報を発信することで、パタゴニアの顧客は同社のパーパスをよく認知し理解することができています。

とは言え、パーパス・ブランディングでは、必ずしも、パーパスを常々顧客との接点に直に顕在させる必要はありません。

 

【パーパス・ブランディングの二つのタイプ】

パーパスについて、顧客との接点の顕在化という視点から見ると、二つのタイプがあります。

  1. 直接のタイプ(消費者やユーザーはパーパスを認知し、理解しているケース)
  2. 間接のタイプ(消費者やユーザーにはパーパスを積極的に発信しないケース)

直接のタイプに関しては、上記で述べたパタゴニアが当てはまります。では、間接のタイプについてご説明します。

間接タイプの任天堂

任天堂を間接タイプの例として紹介します。任天堂の存在意義(Nintendo.comによると”mission”と呼んでいますが、意図するところはパーパスと同様)は、「娯楽を通じて人々を笑顔にする」です。

任天堂は同社のパーパスを直にユーザーには積極的に伝えていません。なぜなら、ユーザーがそのパーパスを知ることで彼らにとって大きな価値にはならないからです。任天堂の場のパーパスの役割は、パーパスを実現する側の従業員と投資家を北極星のようにガイドすること。笑顔を作ることが拠り所であるということを彼らに常にリマインドするためにあります。

直接タイプと間接タイプの使い分け

直接タイプと間接タイプを両方見てきたところで、最後に使い分けを説明しましょう。

直接タイプを導入する理由として、一つ大きいのは、パーパスを直接に消費者に伝えること自体がパーパスの実現に貢献することです。(例えば、消費者がそのパーパスに共鳴され、そのパーパスを賛同し実現したくて商品を購入する、等)

間接タイプに関しては、パーパスによって、やる気を高め、組織が目指すところを一つにすることを重心が置かれます。つまり、組織を一体化し、ブレない戦略デザインが必要な場合に、検討すべき方向です。

どちらにせよ、企業とブランドにとって最も重要なことは、最終的にそのパーパスが実現されていることです。それを意識し、いずれかのアプローチ手段を選定すればよいでしょう。

 


他にもパーパス・ブランディングに関するQ&Aを著書の中でご紹介しています。
齊藤三希子著『PURPOSE BRANDING 〜 「何をやるか?」ではなく、「なぜやるか?」から考える』