パーパスについてのコンサルティングをしていると、「サステナビリティ」について触れる機会に多く遭遇します。あまり知らない人にとっては、この2つは最近の潮流として”同じ枠”の中で括られていることではないでしょうか。

「流行に遅れないよう、うちのビジネスにも、「パーパス」と「サステナビリティ」を取り入れたい」というケースも多く見聞きします。もともとSDGsのような国際機関の認証みたいなものが大好きな日本の企業が多く、社会貢献性をやっている感を出すためにSDGsを表明し、その一環で、パーパスと言い始めることも多いようです。(※なお、SDGsについては、次のコラムで別途、説明しています)

確かに、代表的な「パーパスドリブン型」と言われる組織の多くは、「サステナビリティ」も重視して活動をしています。

では、本当にこの2つはセットとして、同じ文脈で語られるべきなのでしょうか?

 

まず、「パーパス」について。これは、組織の「存在理由」のことですから、なぜそれをしているのか、という本質的な理由から、それが結果的に何らかの形で、地域や消費者、または世界に、価値や貢献をもたらしてくれることになります。それは、人を喜ばせるサービスかもしれないし、お腹を満たすフードプロダクツかもしれないし、形は様々ですが、全てのビジネスは「何らかの形で人や社会の役に立つ」はずであり、なぜそれをするのか、そこに組織のパーパスがあるわけです。

一方、「サステナビリティ」についてですが、多くの場合、このサステナビリティは「地球環境問題について立ち向かい、いかに持続性のある社会を作っていくか」という意味で使われています。しかし元々は、sustainable=持続性のある、という意味ですから、単にサステナビリティ、と言ってもいろんな意味で使うことが出来てしまいます。自分のビジネスは儲かっていて永く続いてはいるが、長年環境に優しくないことをしている・・・という場合でも、「サステナブルなビジネスです」と明言するのはあながち間違いでない、ということになってしまいます。

では、「サステナビリティ」が、地球と環境に配慮した持続性のことだけを指すとして、この場合の持続性とは、パーパスのような「社会や人のためになるその事を、なぜやっているのか?」とは異なり、そのパーパスを叶えるために活動する中で、組織として社会と地球のために”しなければならないこと” ー つまり、企業の”責任”や社会に対する”義務”、言うなれば、ミッションの1つに近いものになるのではないでしょうか。(※なお、パーパスとミッションの違いについてはこちら

ここで2つの関係性が密接になってきます。「パーパス」が、言うなれば最終的には人のため、社会のために、”なぜ”行なっていることの理由を説明するものである以上、その「人」や「社会」が持続しない限り、ビジネスは断ち消えてしまいます。そのため、「地球」「環境」「社会」の持続に向けて、責任を果たし努力する必要があります。それこそが「サステナビリティ」です。

注意しておきたいのは、「パーパス」も、「サステナビリティ」も、流行に乗って簡単に取り入れられるような次元のものではないということです。どちらも、その道のりはとても長く、多大な努力を要します。

「パーパス」を設定したからといって、必ずしもそこに「サステナビリティ」を押し出さなければならないとか、サステナブルな要素を入れないといけないとか、そういうことはありません。しかし上で説明したように、パーパスの実現の最終的な形は社会のためとなりますから、社会の持続性にマイナスになるようなビジネスは、そのパーパスを果たさないということになります。

これからの時代のビジネスにおいて、「パーパス」を持ち、「サステナビリティ」を意識して活動をすることは、必須となったといっても過言ではないでしょう。しかしその2つを、流行の一環として同じ文脈で語り、簡単に取り入れようとしたところで、それは本当のパーパスドリブン組織にはなれないし、真のサステナビリティの実現にもならないことでしょう。

まずは、自分たちの存在理由を確かめる、すなわち、パーパスを発見するところから始めてみてはどうでしょうか。そうして設定されたパーパスを軸に全ての行動を移していくことで、組織として社会のサステナビリティにいかに貢献できるかというところも、おのずと見えてくるのではないでしょうか。

 

次回コラムは、続編・SDGsとの関係性についてです。

 


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