予測だにしなかったものが現実となることを、身をもって経験した私たちに、今年2021年にはどんなことが起こり、どんなトレンドが来るのでしょうか?それとも、こうしたところで語られない未知の事柄が、また待ち受けているのでしょうか?
少なくとも予測可能な、今年「来そう」なトレンド・キーワードをご紹介します。


 

人工卵(Chickenless Eggs)

人工卵は、植物由来のプロテインを使って作られ、見た目だけでなく、味や調理法も本物の卵に引けを取らない。2021年、プラントベースの代替フードの中で最も急成長を遂げるだろう。米国のJUST EGG(画像)は2020年半ばですでに、緑豆を原料とする5000万個相当の人工卵を販売。他企業では、ひよこ豆、大豆・ジャガイモ・エンドウなどが原料とされる。

 

 

 

分子レベルのドリンク(Molecular Sips)

蒸留酒、ワイン、コーヒーなどを、本来の原料を使わずに、分子レベルから緻密にデザインされた画期的なドリンク。合成飲料ではなく、リバースエンジニアリングを利用し、植物由来の化合物から作られ見た目も味もそっくりな上、使用する水や土壌を減らし、炭素排出量や時間を削減する。代表企業のサンフランシスコのEndless Westは人工アルコール飲料(画像)を米国内800以上の小売店及び香港で販売。シアトルのAtomo Coffeeは果実の核・タネ・茎を再利用し、コーヒーを分子レベルで再現、森林破壊の削減に努める。

 

 

 

 

環境移民(Climate Migrant)

環境の悪化や気候変動による自然災害などのため、豊かな国への移住でなく、自国の都市部へ移り住んで新たな収入の道を探る人々。現在5000万人いる環境移民は50年までに2億人に上るとされ、その90%は途上国の人々。08年に世界の都市人口が農村人口を超えたが、今後都市部はさらに肥大化。気候変動で農村人口の減っているケニアとバングラデシュ、冬の寒さで遊牧民の家畜が死んでしまうモンゴル、森林伐採が進み水害の多いハイチは、環境移民によって打撃を受ける国の代表例。

参考サイト Newsweek Japan

 

 

 

 

デジセクシャル(Digisexual)

セックスロボットやバーチャルリアリティーのポルノのような没入型の体験を自らのセクシャル経験として捉え、人間のパートナーとの肉体的接触や親しい関係を求めない人々のこと。思いのままに快感を得られる装置が作られるようになったこと、AIにより常に自分の望む返答をしてくれるボットなどが生まれたことなどで現実の人間関係に興味を示さなくなった人が増加し、パンデミックやソーシャルディスタンスによりこの動きがさらに加速。

参考サイト wedge.ismedia.jp

 

 

 

 

ポストヒューマニズム(Post-humanism)

「ポストヒューマニズム」という言葉は、機械補綴や人体改造を通じて「人間を超えた存在」を志向する態度として理解され、90年代当初はサイボーグに代表されてきたが、近年、機械的な自己拡張を引き合いに出さずとも、火や石斧といった原始的な道具の使用以来の、文字や印刷技術の発達を身体機能の外在化と捉えている。つまり、私たちはつねにサイボーグ=ポストヒューマンとして存在してきた、という考え方。人間を放棄しようとするものではなく、むしろその批判的検討を含む。

参考サイト artscape.jp

 

 

 

 

サイケデリクス・セラピー(Psychedelics Therapy)

サイケデリクス、すなわち幻覚剤は、LSDやマジックマッシュルームに含まれる有効成分のシロシビンなど、摂取することにより視覚の変化や意識の拡張をきたす薬物。禁止薬物であるが、最近精神疾患・精神症状へのその作用の見直しがされるようになり、2018年、FDAはシロシビンを「画期的治療法」と位置付け、薬品の審査と開発の迅速化が許可された。2020年11月、米国オレゴン州では、マジックマッシュルームが合法化。

参考サイト vogue.co.jp

 

 

 

 

菌糸体 (Mycelium)

上記の幻覚剤としてのマジックマッシュルームのみならず、キノコがより注目を集める。キノコの根っこ、地中で張り巡らせる菌糸体のネットワークが、再生農業や二酸化炭素吸収のキーとなる。Bolt Threadsは菌糸体から作られたキノコ革Myloを開発、Adidas、StellaMcCartney、Lululemon、Keringなどが100万ドル単位の投資を行い、代替レザーの製造規模拡大とサプライチェーンの構築に努めている。ワイン等のパッケージング用にもキノコが栽培されるほか、美容製品や飲食物の重要な原料としても活躍。

参考サイト WWD Japan